音楽の冗談

音楽、美術、映画、演劇、文学などの有名アーティストや、偉大な才能を持つ無名なアーティストたちに焦点を当て、彼らの業績や人生を一風違った視点で掘り下げます。

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楽劇王リヒャルト・ワーグナーは、ベートーヴェンの第九響曲の真価を理解し、現在の演奏スタイルを確立した「指揮者」としても知られています。彼は、芸術に対する最高の評価として「ドイツ的な」という形容詞をしばしば用いていました。この考え方は後にヒトラーの思想に影響します。前回はイタリアの名指揮者トスカニーニを取り上げ、ニューヨークに活動拠点を移しファシズムに対する明快な姿勢を表した彼の生涯を紹介しました。一方、ライバルと目されていたドイツの名指揮者フルトヴェングラー(1886-1954)は、ドイツに留まりながら音楽活動を継続し、好むと好まざるに関わらず、ナチのプロパガンダに利用されました。大戦後、フルトヴェングラーはナチ協力者として、演奏活動停止処分を受けます。2年近く音楽活動を禁じられ、半年にわたる非ナチ化裁判の結果、裁判で無罪となり音楽界に復帰します。今回は、フルトヴェングラーとナチとの関係の真相と1947年5月の歴史的な復帰演奏会に臨むまでのエピソードを紹介します。

リハーサル風景  Brahms Symphony No.4 in 1948,London
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オリンピックが変わった後も熱帯夜とゲリラ豪雨が続いた2008年の夏ですが、夏といえば1981年に台東区長と伴淳三郎の発案により開始された浅草サンバカーニバルが毎年東京を熱くしてくれます。サンバ発祥の地ブラジルのリオデジャネイロで、さらに遡ること105年前の1986年に、20世紀の大指揮者が誕生するきっかけとなった出来事がありました。ドイツのフルトヴェングラーに並ぶ戦前、戦中に2大指揮者と称されたイタリアのトスカニーニは、音楽の姿勢のみならず、ファシズムに対する態度でも対極にありました。今回は、一介のチェロリストにすぎなかった学校出たての19歳の青年演奏家が、リオで一夜にして、世界の指揮者になる階段を昇り始めたエピソードです。

トスカニーニが演奏するベートーヴェン交響曲第5番-YouTubeより
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今年に入ってから中国食品の問題が世間を賑わせ、食の安全性に注意を払うようになった方は多いと思います。例えば、「和牛」は日本の在来種をもとに、交配を繰り返して改良されたもののみを指し、「黒毛和種」、「褐色和種」、「日本短各種」、「無角和種」の4種類しかありません。一方「国産牛」は、輸入されてから3ヵ月間以上日本国内で飼育されていれば国産牛と称されます。
さて、今回のテーマは食の安全性ではなく、食を芸術的に探求した人物の話です。日本では趣味人として魯山人が食通として著名ですが、海外では料理の名前にもつけられているイタリア人の作曲家ロッシーニ(1792-1868)が稀代の食通として名を残しています。

ロッシーニ
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エドワード・エルガー(英国1857-1934)の代表作「威風堂々」は、春には卒業式&入学式でよく演奏されます。実際の作品は全6曲から成り立っており、一般に「威風堂々」として演奏されるのは、第1番の中間部の旋律です。このパートは時の英国王エドワード7世により絶賛され、歌詞をつけるよう勧められたため、A.C.ベンソンの詩をつけて「希望と栄光の国」というタイトルの歌曲になりました。この歌曲は、英国の第2の国歌として愛唱されるほど親しまれ、旋律の部分は日本においてもテレビCMにしばしば利用され、アニメ「あたしンち」のエンディングソングにも使われるほど誰もが1度は聞いたことがあるメロディです。

エルガー本人の指揮による「威風堂々」

作曲者エルガーは、英国中西部のソースの名前で知られているウースターの田舎町でヴァイオリンやピアノを教える一介の音楽家に過ぎませんでしたが、エルガーのピアノの生徒で、8歳年上の女性キャロラインとの結婚を機に、大作曲家の道を邁進していきます。本人も言うように、妻の内助の功により、田舎作曲者が国王より男爵の称号を得るまでに出世しました。今回は、エルガーの才能を信じ献身的に夫を支え続けた妻の功績に焦点を当てて、エルガーの生涯を追ってみます。
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現代の食卓がいかに添加物に依存しているかご存知でしょうか。例えば、コンビニでサンドイッチを買って食べれば、それだけで十数種類もの化学添加物を一度に摂取することになります。添加物は食物を腐らないように長期保存したり、味を良くしたり大変便利な素材ですが、一方、因果関係は断定できないものの、添加物の持つ毒性により、アトピー性皮膚炎やアレルギー性鼻炎等を引き起こしたり、現代人に多く見られる「切れやすい性格」の一因とも言われています。

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例えば、今日市販されるワインは口当たりが良く、飲みやすいものですが、昔のワインは必ずしも飲みやすいとは限りませんでした。古代ローマの医者の記録によるとワインは「酸っぱいもので、体を温める効果があり、血行をよくする」とあります。この酸味のきついワインを甘く、美味しく変化させたのが鉛でした。鉛のワインカップに酸っぱいワインを入れ弱火で暖めると、鉛は酸味の強いワインの中に溶け込み、わずかな甘みを生み出します。こうして飲みにくいワインに鉛という“添加物”が加えられた結果、多くの人々が慢性の鉛中毒になり、様々な症状に苦しみました。中毒症状の例をあげると、腹部の慢性的な不快感や痛み、吐き気等で、ひどい場合は知的障害を引き起こすことすらありました。
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少し古い話題ですが、今年のトリノ開催の冬季五輪の女子フィギュアで金メダルを獲得した荒川静香がフリーで使用した美しい音楽でオペラ人気がにわかに高まりました。使われた曲はオペラ「トゥーランドット」からのアリアで、伝説時代の北京を舞台にしたトゥーランドット姫の話です。ステージで使用された演奏は、美人ヴァイオリニストのバネッサ・メイが奏でた「誰も寝てはならぬ」で、オリジナルは男性テノールのアリアです。歌のタイトルとは裏腹にアルトゥーロ・トスカニーニ指揮による初演の際に作曲家自身が永眠してしまい、未完のオペラになりました(なお、残りの部分はプッチーニの23ページにわたるスケッチを参考に弟子が後日完成させました)。

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バネッサ・メイ

さて、イタリアン・オペラのディーバ(歌姫)と言えば、いまだに故マリア・カラス(1923-77)があげられます。彼女の主演作品のほとんどがそのオペラのベスト盤と言われ、その独特の声のみならず、波乱万丈な人生が人々の記憶に残っています。今回はマリア・カラスの知られざる一面を紹介します。
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Maria Callasのアルバムより
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神童 渡辺茂夫






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私が渡辺茂夫に興味を持ったのは、サイト「芸術家の肖像」の元となるエピソードの類を書いていたとき、社内でいつも親しくしてもらっていた年配の女性から、是非、渡辺茂夫を次回取り上げてほしいとの要望があったからです。彼女は40年以上前に海外で勉学し、教養も気品も備えた素晴らしい人でした。音楽にも造詣が深く、米国で有名演奏家のコンサートに度々行って、レコード世代の私には垂涎の体験をされていました。残念ながら、癌を患い退社後1年も経たずして亡くなられましたが、病気のことは存命中は社員に知らせず、最後まで自分の美学を通された方です。このエピソードは、その尊敬する女性に捧げます。


YouTubeから映像を発見したので、渡辺茂夫の神童ぶりがご覧いただけると思います。

渡辺茂夫が7歳の時の貴重な演奏映像。「Shigeo Watanabe plays the violin」映画からの抜粋です。日本語のナレーションも入っています。
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