Shall We ダンス?-アンナと王様
プロローグ
周防正行監督の「Shall We ダンス?」のハリウッド版リメイク作品が昨年公開(2004年度作品)されました。未見なので、10月14日のDVDのレンタル開始が楽しみの作品です。人気俳優リチャードギアとジェニファー・ロペス主演もさることながら、オリジナルのストーリーと対比できるキャスティングや多少ニュアンスの違うエンディングに興味がわきます。さて、このタイトルとなった名曲、周防監督版では大貫妙子がさらっと歌っていましたが、元は有名なミュージカル「王様と私」主題曲。

「オクラホマ!」「回転木馬」「サウンド・オブ・ミュージック」「南太平洋」の名コンビ-ロジャース&ハマースタインII世による1951年初演のミュージカルで、1952年度トニー賞では、作品賞・女優賞・男優賞・衣裳賞・装置賞の計5部門を受賞しています。ロジャース&ハマースタインは大好きな作曲・作詞家のコンビですが、今回は音楽ではなく、少しこのストーリーの土台となった小説と史実を調べてみました。

プロローグ
周防正行監督の「Shall We ダンス?」のハリウッド版リメイク作品が昨年公開(2004年度作品)されました。未見なので、10月14日のDVDのレンタル開始が楽しみの作品です。人気俳優リチャードギアとジェニファー・ロペス主演もさることながら、オリジナルのストーリーと対比できるキャスティングや多少ニュアンスの違うエンディングに興味がわきます。さて、このタイトルとなった名曲、周防監督版では大貫妙子がさらっと歌っていましたが、元は有名なミュージカル「王様と私」主題曲。

「オクラホマ!」「回転木馬」「サウンド・オブ・ミュージック」「南太平洋」の名コンビ-ロジャース&ハマースタインII世による1951年初演のミュージカルで、1952年度トニー賞では、作品賞・女優賞・男優賞・衣裳賞・装置賞の計5部門を受賞しています。ロジャース&ハマースタインは大好きな作曲・作詞家のコンビですが、今回は音楽ではなく、少しこのストーリーの土台となった小説と史実を調べてみました。

映画の原作となった小説
このストーリーの土台となったのが、1944年に発表されたアメリカの女流作家マーガレット・ランドン Margaret Landon の小説「アンナとシャムの王様(Anna and the King of Siam)」です。実はこの作品は実在の英国婦人アンナ・レオノウェンズ Anna H. Leonowens(1831~1914) が、1862年から5年間のシャムでの滞在生活を記した回想録「イギリス婦人家庭教師とシャム王室 (The English Governess at the Siamese Court )」(1870年)と「シャム宮廷生活(Siamese Harem Life )」(1873年) を基にしています。

Anna H. Leonowens(1831~1914)
マーガレット・ランドンの小説の内容は、映画をご覧いただくとして、巻末に、1897年にロンドンでギリス訪問中のシャム王と30年ぶりの再会が語られています。また、アンナの息子ルイのその後については、なかなか興味深い人生を紹介しています。
「一方多感な頃をバンコクで過ごした息子のルイはイギリス社会になじめず、アイルランドの寄宿学校をとびだして、当時アメリカに住んでいた母親のもとに身をよせる。しかし、ここも性に合わず、オーストラリアに移住して警察官になるが、これまた長続きせず、結局シャムに舞い戻って、チュラロンコン王の身辺を警護する近衛将校になる。のちに王女の一人と結婚して、チーク材をあつかう材木会社を設立、財をなした。」
この会社は現在、タイでも有数の企業に成長しています。

家庭教師と王様との恋
「王様と私」は欧米ではとても人気がある題材で、ミュージカル作品以外にも何度も映画化されています。最近では1999年にジュディ・フォスターのアンナ役で再映画化され、さらにミュージカル版も同年ワーナーからアニメ化されました。ミュージカル版もジュディ・フォスター版も話としては王の聡明な決断によるハッピーエンドとなっていますが、タイ本国では未だに上映禁止となっています。しかもジュディ・フォスター版では撮影も許されずタイの協力は皆無でした。

なぜでしょうか?2つの作品に共通しているのは、どちらも実話に出てくるアンナとモンクット王(ラーマ4世:在位1851~68)の描かれ方が恋愛感情を伴うものだからと推測できます。現在のタイ国王プミポン(ラーマ9世)は、モンクット王の曾孫(ひまご)にあたりますが、現国王は国民から絶大な尊敬を受けており、各家庭には王の肖像が飾られ、映画館などでは、上映の際には国王と王妃の映像と国王賛歌を流され、全員しばし起立します。これだけ王室に対しては畏敬の念を持っている国民にとって、近代化の推し進めたモンクット王が英国の一家庭教師との間に恋愛感情があるなどもってのほかと考えるのでしょう。

しかし、実際アンナの回想記当時の2人の年齢や立場を考えるとほんとうに恋愛感情が芽生えたかどうかは疑問です。回想記の後の小説化で脚色されたこともあり、これが舞台や映画の際にはより面白く見せるためにロマンスと取り入れたと見たほうが自然です。アンナがタイに家庭教師としてきたのが1862年、その時モンクット王は58歳、アンナ31歳でほぼ倍近い年齢差です。しかも王はその6年後に亡くなられますので、当時の寿命を考えると老齢だと考えられます。映画化では2人の年齢差が10-20歳くらいしか見えませんので(実際演じた2人の主人公の年齢差もそれくらい)、ロマンスは不自然なことではありませんが、文化も肌も言葉も違う2人が身分の差を越えてまで禁断の恋に進むのはちょっと想像できません。
掲示の写真をごらんいただき、2人が恋愛感情に発展したか判断してください。お互いに尊敬の念を持っていたのは間違いないと思いますが、映画のようなロマンスよりはむしろ、誇り高いタイの国王が異国の一家庭教師に心を開いたという点が驚くべきことだと思います。

次回は「王様と私」のミュージカルでスターになったユル・ブリンナーを紹介します。
このストーリーの土台となったのが、1944年に発表されたアメリカの女流作家マーガレット・ランドン Margaret Landon の小説「アンナとシャムの王様(Anna and the King of Siam)」です。実はこの作品は実在の英国婦人アンナ・レオノウェンズ Anna H. Leonowens(1831~1914) が、1862年から5年間のシャムでの滞在生活を記した回想録「イギリス婦人家庭教師とシャム王室 (The English Governess at the Siamese Court )」(1870年)と「シャム宮廷生活(Siamese Harem Life )」(1873年) を基にしています。

Anna H. Leonowens(1831~1914)
マーガレット・ランドンの小説の内容は、映画をご覧いただくとして、巻末に、1897年にロンドンでギリス訪問中のシャム王と30年ぶりの再会が語られています。また、アンナの息子ルイのその後については、なかなか興味深い人生を紹介しています。
「一方多感な頃をバンコクで過ごした息子のルイはイギリス社会になじめず、アイルランドの寄宿学校をとびだして、当時アメリカに住んでいた母親のもとに身をよせる。しかし、ここも性に合わず、オーストラリアに移住して警察官になるが、これまた長続きせず、結局シャムに舞い戻って、チュラロンコン王の身辺を警護する近衛将校になる。のちに王女の一人と結婚して、チーク材をあつかう材木会社を設立、財をなした。」
この会社は現在、タイでも有数の企業に成長しています。

家庭教師と王様との恋
「王様と私」は欧米ではとても人気がある題材で、ミュージカル作品以外にも何度も映画化されています。最近では1999年にジュディ・フォスターのアンナ役で再映画化され、さらにミュージカル版も同年ワーナーからアニメ化されました。ミュージカル版もジュディ・フォスター版も話としては王の聡明な決断によるハッピーエンドとなっていますが、タイ本国では未だに上映禁止となっています。しかもジュディ・フォスター版では撮影も許されずタイの協力は皆無でした。

なぜでしょうか?2つの作品に共通しているのは、どちらも実話に出てくるアンナとモンクット王(ラーマ4世:在位1851~68)の描かれ方が恋愛感情を伴うものだからと推測できます。現在のタイ国王プミポン(ラーマ9世)は、モンクット王の曾孫(ひまご)にあたりますが、現国王は国民から絶大な尊敬を受けており、各家庭には王の肖像が飾られ、映画館などでは、上映の際には国王と王妃の映像と国王賛歌を流され、全員しばし起立します。これだけ王室に対しては畏敬の念を持っている国民にとって、近代化の推し進めたモンクット王が英国の一家庭教師との間に恋愛感情があるなどもってのほかと考えるのでしょう。

しかし、実際アンナの回想記当時の2人の年齢や立場を考えるとほんとうに恋愛感情が芽生えたかどうかは疑問です。回想記の後の小説化で脚色されたこともあり、これが舞台や映画の際にはより面白く見せるためにロマンスと取り入れたと見たほうが自然です。アンナがタイに家庭教師としてきたのが1862年、その時モンクット王は58歳、アンナ31歳でほぼ倍近い年齢差です。しかも王はその6年後に亡くなられますので、当時の寿命を考えると老齢だと考えられます。映画化では2人の年齢差が10-20歳くらいしか見えませんので(実際演じた2人の主人公の年齢差もそれくらい)、ロマンスは不自然なことではありませんが、文化も肌も言葉も違う2人が身分の差を越えてまで禁断の恋に進むのはちょっと想像できません。
掲示の写真をごらんいただき、2人が恋愛感情に発展したか判断してください。お互いに尊敬の念を持っていたのは間違いないと思いますが、映画のようなロマンスよりはむしろ、誇り高いタイの国王が異国の一家庭教師に心を開いたという点が驚くべきことだと思います。

次回は「王様と私」のミュージカルでスターになったユル・ブリンナーを紹介します。
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日本版のShall we ダンス?は観終わった後、ホロリとさせられましたね。ちなみにハリウッド版はアメリカらしい仕上げになっていたようで・・・。『王様と私』も要チェックですね!
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遅ればせながら、コメントしに参りました。また勝手ながら、リンクもさせて頂きました。よろしくお願いします(^^)
Cにいた時代は、映画やミュージカル、ジャズなどのわくわくする話、いつも聞いていて楽しかったですよ!
”Shall We dancd?” は竹中直人の役が誰なのか(まだ知らないので)楽しみにしています。”王様と私”は今まで観たことがありませんでした。色々あるみたいなので、どれから手をつければ良いのでしょう?
近々お目にかかれそうですので、その時にまた伝授願います。ALOHA!