プロローグ
バロックの父バッハは生前ほとんど無名な音楽家でしたが、死後79年後にメンデルスゾーンに発見されたことにより、その名と作品が世間に知られるようになりました。科学の世界でも同様な埋もれた天才が多数いますが、とりわけ現代の携帯電話の基礎技術とも言うべき無線通信の基本原理を発明しながら、発明後50年経ってようやく法的に発明者と認められ、その後今日に至るまで発明者としてあまり認知されない大発明家がいました。
今年(2006年)、生誕150年を迎えて脚光を浴び始めましたが、当時はエジソン以上と言われた天才発明家ながら、その行動が原因でマッド・サイエンシストと呼ばれ、その能力が実績ほど認められませんでした。今回はクロアチア生まれの鬼才ニコラ・テスラの大発明と苦難の生涯を追ってみました。

女性にもてた若いころのニコラ・テスラ
バロックの父バッハは生前ほとんど無名な音楽家でしたが、死後79年後にメンデルスゾーンに発見されたことにより、その名と作品が世間に知られるようになりました。科学の世界でも同様な埋もれた天才が多数いますが、とりわけ現代の携帯電話の基礎技術とも言うべき無線通信の基本原理を発明しながら、発明後50年経ってようやく法的に発明者と認められ、その後今日に至るまで発明者としてあまり認知されない大発明家がいました。
今年(2006年)、生誕150年を迎えて脚光を浴び始めましたが、当時はエジソン以上と言われた天才発明家ながら、その行動が原因でマッド・サイエンシストと呼ばれ、その能力が実績ほど認められませんでした。今回はクロアチア生まれの鬼才ニコラ・テスラの大発明と苦難の生涯を追ってみました。

女性にもてた若いころのニコラ・テスラ
エジソンに裏切られたテスラの名誉挽回
テスラはエジソンの4つ年下で、プラハ大学在学中に交流電磁誘導の原理を発見。1884年にアメリカに渡り、エジソンの会社に採用されます。テスラは社内で交流電流による電力事業を提案しますが、当時、直流電流の事業展開を考えていたエジソンは却って開発中止を指示。その後、テスラの執拗な提言に辟易したエジソンが、成功したら5万ドル払うという口約束をしたので、テスラはかえって奮起し、交流発電を実現。しかし、エジソンは約束を履行せず、口論の末にテスラを解雇します。

電流を巡って対立したステラ(左)とエジソン(右)
上司に裏切られて失意の中、自ら1887年にテスラ電灯会社を設立し再起を図ります。偶然、テスラの講演を聞いたジョージ・ウェスティンハウスが、百万ドルの研究費と特許料を提供。さらに、交流発電機を自分のナイアガラの滝発電所に取り付け、大成功を収めます。テスラは1887年に特許を取得していたので、事業家としての成功はウェスティングハウスに譲ったものの、発明者としての名声を得ます。一方、直流にこだわったエジソンの電力事業は失敗に終り、2人の間には大きな溝ができました。
その後、テスラの研究に目をつけた屈指の金持ちであった銀行家のJ・P・モルガンが、来る無線通信時代を見越して、無線放送の電波塔の設計をテスラに依頼します。モルガンは15万ドル(今日の価値で数千万ドル相当)の資金とロングアイランドの広大な私有地を実験のために用意しました。テスラが設計した鉄塔は57mもあり、天辺には直径20mの金属ドームが取り付けられていました。1905年に竣工し、実験を繰り返しますが、残念ながら、マルコーニがラジオ放送の実験を先に成功すると、この無線システムは実用的な成果をあげられず(つまりビジネスに直結できず)、モルガンは資金供給を止めてしまい、実験は終わりを告げます。

テスラは作ったブロードキャスティングタワー
無線技術の発明とエジソンへの復讐
さて、ワイヤレス通信といえば、イタリアの科学者マルコーニが発明者として教科書で紹介されていましたが、テスラはマルコーニが実用化した以前にその原理を発見していました。しかし、テスラは、マルコーニがテスラの原理を使っていたことに特にクレームを入れなかったため、実用化に成功したマルコーニが「無線の発明者」と世間で見られ、ノーベル物理学賞を1909年に受賞します。これにあせったテスラは、特許の有効性を訴えて裁判を起こし、1943年に米国連邦最高裁判所により無線の基本特許はテスラが真の発明者として認められます。しかし、人工地震、殺人光線、反重力装置などSFまがいな兵器開発を繰り返したテスラは、“マッド・サイエンティスト”という“名声”ばかり先行して、無線の発明の件は世間から忘れ去られます。

交流電流の安全性を示したデモンストレーション
さまざまな発明で科学の世界で認められたテスラは、1915年、エジソンと共に電力の発明に対してノーベル賞同時受賞が検討されましたが、テスラがエジソンと同時受賞することを拒否したため、エジソンはノーベル賞を逃してしまいます。さらに「天才とは99%努力と1%の閃き」というエジソンの名言を皮肉り、「天才とは99%の努力を1%の努力で覆す存在である」と、恨みを晴らすように徹底的にエジソンを攻撃しました。
政府に雇われた寂しい晩年
ノーベル賞を受賞しなかったことが、テスラのその後の生活に影響を与えます。つまり無冠の科学者に資金を提供する投資家が現れず、晩年、伴侶も金もないテスラは、米RCA社で国防に関わる機密製品の開発に携わるようになりました。1943年、テスラは研究室の中で貧困と失意のうちにニューヨークのアパートでこの世を去ります(享年86歳)。
膨大な日誌は「人類にとって危険すぎる」と生前テスラ自身がすべて燃やしてしまい、またテスラの死後、FBIが研究に関する書類を持ち去ったと言われ、テスラの晩年の研究が謎として残りました。

晩年のテスラ
テスラはエジソンの4つ年下で、プラハ大学在学中に交流電磁誘導の原理を発見。1884年にアメリカに渡り、エジソンの会社に採用されます。テスラは社内で交流電流による電力事業を提案しますが、当時、直流電流の事業展開を考えていたエジソンは却って開発中止を指示。その後、テスラの執拗な提言に辟易したエジソンが、成功したら5万ドル払うという口約束をしたので、テスラはかえって奮起し、交流発電を実現。しかし、エジソンは約束を履行せず、口論の末にテスラを解雇します。

電流を巡って対立したステラ(左)とエジソン(右)
上司に裏切られて失意の中、自ら1887年にテスラ電灯会社を設立し再起を図ります。偶然、テスラの講演を聞いたジョージ・ウェスティンハウスが、百万ドルの研究費と特許料を提供。さらに、交流発電機を自分のナイアガラの滝発電所に取り付け、大成功を収めます。テスラは1887年に特許を取得していたので、事業家としての成功はウェスティングハウスに譲ったものの、発明者としての名声を得ます。一方、直流にこだわったエジソンの電力事業は失敗に終り、2人の間には大きな溝ができました。
その後、テスラの研究に目をつけた屈指の金持ちであった銀行家のJ・P・モルガンが、来る無線通信時代を見越して、無線放送の電波塔の設計をテスラに依頼します。モルガンは15万ドル(今日の価値で数千万ドル相当)の資金とロングアイランドの広大な私有地を実験のために用意しました。テスラが設計した鉄塔は57mもあり、天辺には直径20mの金属ドームが取り付けられていました。1905年に竣工し、実験を繰り返しますが、残念ながら、マルコーニがラジオ放送の実験を先に成功すると、この無線システムは実用的な成果をあげられず(つまりビジネスに直結できず)、モルガンは資金供給を止めてしまい、実験は終わりを告げます。

テスラは作ったブロードキャスティングタワー
無線技術の発明とエジソンへの復讐
さて、ワイヤレス通信といえば、イタリアの科学者マルコーニが発明者として教科書で紹介されていましたが、テスラはマルコーニが実用化した以前にその原理を発見していました。しかし、テスラは、マルコーニがテスラの原理を使っていたことに特にクレームを入れなかったため、実用化に成功したマルコーニが「無線の発明者」と世間で見られ、ノーベル物理学賞を1909年に受賞します。これにあせったテスラは、特許の有効性を訴えて裁判を起こし、1943年に米国連邦最高裁判所により無線の基本特許はテスラが真の発明者として認められます。しかし、人工地震、殺人光線、反重力装置などSFまがいな兵器開発を繰り返したテスラは、“マッド・サイエンティスト”という“名声”ばかり先行して、無線の発明の件は世間から忘れ去られます。

交流電流の安全性を示したデモンストレーション
さまざまな発明で科学の世界で認められたテスラは、1915年、エジソンと共に電力の発明に対してノーベル賞同時受賞が検討されましたが、テスラがエジソンと同時受賞することを拒否したため、エジソンはノーベル賞を逃してしまいます。さらに「天才とは99%努力と1%の閃き」というエジソンの名言を皮肉り、「天才とは99%の努力を1%の努力で覆す存在である」と、恨みを晴らすように徹底的にエジソンを攻撃しました。
政府に雇われた寂しい晩年
ノーベル賞を受賞しなかったことが、テスラのその後の生活に影響を与えます。つまり無冠の科学者に資金を提供する投資家が現れず、晩年、伴侶も金もないテスラは、米RCA社で国防に関わる機密製品の開発に携わるようになりました。1943年、テスラは研究室の中で貧困と失意のうちにニューヨークのアパートでこの世を去ります(享年86歳)。
膨大な日誌は「人類にとって危険すぎる」と生前テスラ自身がすべて燃やしてしまい、またテスラの死後、FBIが研究に関する書類を持ち去ったと言われ、テスラの晩年の研究が謎として残りました。

晩年のテスラ
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指摘ありがとうございます。
意外と自分では気がつかないんです、このようなケアレスミスは。
漢字が間違ってます
復習ではなくて復讐が正しいのではないですか?
といいつつ、記事全体が面白かったので1拍手しました^^
プレステージっていう映画でデビッドボウイが彼の役を演じていますね
ニコラ・テスラをキーワードにこのブログを拝見。
ニコラ・テスラの切手がかなりたくさん発行されています。ご存知?
これらを私のサイトにアップして置きましたので、折をみて覗いてくだされば幸いです。
http://homepage3.nifty.com/elestamp/tesla.htm